概要
中央放射線室は、診断と核医学及び放射線治療の3つに大別されます。近年の診療において画像診断の重要度は高まる一方です。
どの部門においても充実した最新装置を保有している恵まれた環境であり、この医療環境を患者様、地域の皆様へ還元すべきという思いからスタッフ一同取り組んでおります。
また、専門医による適確な診断能力、各種の専門技師の能力は高い評価を頂いております。
中央放射線室は診断に携わる医師6名、画像検査や放射線治療の携わる技師26名、看護師30名、看護補助3名、事務スタッフ6名 総勢71名で構成されています。
もし、疑問等ございましたら遠慮なく中央放射線室スタッフに御質問下さい。
本ホームページでは、多岐に渡る当センターの放射線検査について簡単に紹介させていただきます。
中央放射線室における業務は、単純X線撮影・CT検査・MRI検査・造影透視検査・乳房撮影(マンモグラフィ)・血管造影検査・心臓カテーテル検査・核医学検査・放射線治療・超音波検査など様々な検査や撮影、治療を常に放射線科医師、中央放射線室看護師と連携を取り行っています。
施設の認定として、マンモグラフィ検診精度管理中央委員会が主催する「マンモグラフィ検診施設画像認定」を取得しております。また、放射線治療においては、公益財団法人医用原子力技術振興財団による治療用照射装置(X線)の出力線量測定を行い測定評価を受けております。
われわれも第一種放射線取扱主任者、医学物理士、核医学専門技師、放射線治療専門技師、X線CT認定技師、検診マンモグラフィ撮影認定放射線技師、JABTS乳房超音波認定技師、認定脳神経超音波検査士、放射線機器管理士、放射線管理士、医療画像情報精度管理士、放射線被ばく相談員、マスター診療放射線技師、アドバンスド診療放射線技師、臨床実習指導者、2級心理カウンセラー等の資格を有したスタッフが揃っており、安心・安全で患者様にやさしい医療を目指しています。
これからも高度で品質保証された検査及び治療を提供させて頂きたいと考えております。
保有している主な装置
種類 |
モデル名 |
メーカー |
備考 |
一般撮影装置 |
UD150B-40 |
島津 |
3台 |
歯科撮影装置 |
Hyper-XCM |
朝日レントゲン工業 |
1台 |
X線テレビ装置 |
CUREVISTA |
日立メディコ |
1台 |
VERSIFLEX |
日立メディコ |
1台 |
Ultimax-i |
東芝 |
1台 |
乳房撮影装置 |
Senographe DS Depister |
GE |
1台 |
ポータブル撮影装置 |
シリウス 130HP |
日立メディコ |
3台 |
骨密度測定装置 |
PRODIGY |
GE |
1台 |
外科用テレビ |
BV Pulsera、Endura、Livra |
フィリップス |
3台 |
X線CT装置 |
Revolution CT |
GE |
1台(256列) |
LightSpeed VCT |
GE |
1台(64列) |
血管撮影装置 |
Allura clarity20/20 |
フィリップス |
1台 |
心カテ装置 |
Allura clarity10/10 |
フィリップス |
1台 |
BRANSIST safire HF9 |
島津 |
1台 |
Hybrid-OR |
INFX-8000H |
東芝 |
1台 |
MRI装置 |
Ingenia |
フィリップス |
1台(3.0T) |
MAGNETOM Avant |
シーメンス |
1台(1.5T) |
ガンマカメラ |
GCA-9300R |
東芝 |
1台 |
E.CAM |
東芝 |
1台 |
PET/CT装置 |
Discovery 710 |
GE |
1台 |
放射線治療装置 |
CLINAC iX |
バリアン |
1台 |
CTシュミレーター |
Optima CT580W |
GE |
1台 |
FPDシステム |
CALNEO |
富士フィルム |
5枚 |
Aero DR |
コニカミノルタ |
6枚 |
RISシステム |
シナプス |
富士フィルム |
|
検査実績
集計期間:2019年4月~2020年3月(1年間)
検査内容 | 件数 |
一般撮影 |
53,906件 |
CT検査 |
23,916件 |
血管造影 |
2,632件 |
MRI検査 |
9,595件 |
核医学検査 |
1,351件 |
PET-CT検査 |
1,247件 |
放射線治療 |
4,972件 |
Topics
IMRTとは
当院では前立腺に対する強度変調放射線治療(IMRT)を実施しています。IMRTとは、複雑な形状を持つ複数の腫瘍に対して自在に線量を調節し投与することが可能な照射方法です。腫瘍に放射線を集中し、周囲の正常組織への照射線量を低く出来るため、副作用を増加させることなく治療可能です。
50%線量分布
直腸の線量を減らす事が出来ます

3D-CRT

IMRT
95%線量分布
前立腺の形に沿った分布になります

3D-CRT

IMRT
(▲カラー表示されているところに放射線が当たります▲)
図から分かるように従来の3D-CRTに比べIMRTでは腫瘍の形にあわせて放射線治療が可能となりました。
そのため前立腺の周囲にある臓器(膀胱や直腸)の線量を低下させることが出来ます。
当院では、「医療被ばくガイドライン」に基づき線量測定を行い、各装置での検査・治療を行う放射線線量の最適化を行うことで、被ばく線量の低減に努めています。
《当院カテ室での取り組み》
近年、医療分野での放射線の利用が急速に拡大し、これに伴い医療で受ける放射線被ばく(医療被ばく)による影響の不安も広がっています。
カテーテル検査を受ける方に対しては、X線透視の線量を下げることで3割以上の被ばく低減を実現しています。
各カテ室では、下図のような散乱線の線量マップを作成・掲示し、線量分布を可視化することで高線量の領域が一目でわかるようにしています。また、カテ室に従事するスタッフに被ばくに対する教育を行い、医療従事者の被ばく低減にも努めています。
(※赤は散乱線線量が高いところ、青は低いところを表します。)
飛行機を利用する際、被ばくを意識している方は少ないと思いますが、東京⇔ニューヨークの往復の約26時間の飛行機旅行では、約0.15mSvの被ばくをしているといわれています。上図の赤の点○線(放射線装置から約2.0m離れたところ)は、約0.15mSv/hを表しています。
仮に放射線防護服を着用せずに1時間被ばくした場合と、東京ニューヨーク往復の被ばくとほぼ同等の被ばくになります。
核医学検査は、臓器の働き具合や病気の状態を画像にすることを得意としています。
狭心症の診断目的で「負荷心筋シンチ」がよく行われます。
◆経験・感覚で行っていた従来の診断
負荷心筋シンチでは2回の撮影を行い、両者の画像の違いを視覚的に診断、病気の程度を評価し、治療方針の決定を行っていました。
◆病気の程度を数値化する
画像の濃淡を数値化、自動的に血流低下の程度をスコア化する解析ソフトを導入、診断の手助けとして利用しています。
解析で数値化される「% ischemic」は、「虚血心筋量」と呼ばれます。
虚血心筋量が左室心筋全体の10%以上の場合、薬物治療よりもカテーテルによる治療が予後を改善すると言われています。
最適な治療方針決定のため、病気の程度を数値化する核医学検査を今後も「より適切に」「より安全に」「より正確に」提供してまいります。
256列CT装置が導入され、不整脈がある患者様の冠動脈CT検査の画像が、従来(64列CT装置)の画像に比べより鮮明になり、被ばく線量も半分以下で撮影できるようになりました。

256列CT装置は、16センチメートルの幅を一度に撮影するため、ズレのない画像が得られます。また、血管内腔部分と石灰化部分も明瞭に分離できています。

2018年3月より稼動のGE社Revolution CT(256列)
診断
一般撮影
当院では、一般撮影室を3部屋用意しており、すべての撮影室にFPD(フラットパネル)が装備されています。FPDの導入により、従来のX線撮影に比べて少ない線量で撮影できるため、患者様の被ばくを低減することができます。
一般撮影は主に、胸部(肺や気管)・腹部(ガスや結石)・全身の骨の状態(形態)などの情報が得られます。
検査として第一選択肢に行われることが多いため、皆様にとっても馴染深い検査と思われます。
一般撮影の注意点
現在妊娠している、または可能性がある場合は検査前に必ず医師または放射線技師に申し出てください。
撮影する部位にある異物(例えば、金具の付いた下着、湿布、エレキバン等)は、外していただく場合がありますのでご了承ください。
デジタルパノラマ・セファロX線撮影
主に、虫歯の治療目的でその広がりの確認のため検査します。
撮影の際は、通常立位の状態で(立位ができない患者様は座位でも可)すべての歯と周りの顎の骨等を1枚の画像として写し出します。(パノラマ撮影)
また、顎関節の描出を目的とした、TMJ(開口位と閉口位で比較)も行っております。
X線TV

装置:日立社製 CUREVISTA
主な検査:上部消化管造影・注腸造影・嚥下造影

装置:日立社製 VersiFlex VISTA
主な検査:精密上部消化管造影・注腸造影・脊髄腔造影・
神経ブロック・内視鏡的逆行性胆道膵管造影・大腸内視鏡

装置:東芝社製 Ultimax-i
主な検査:気管支鏡・大腸内視鏡・
内視鏡的逆行性胆道膵管造影・小腸内視鏡
平成29年4月より、多方向・大視野・高画質の
多目的デジタルX線TVシステムが稼動しています。

再来受付後、21番中央放射線室受付窓口までお越しください。
検査により食事制限などの前処置が必要な場合もあります。
検査内容等不明な点がございましたらお気軽にスタッフまでお申し出ください。
骨塩定量検査
検査の概要
X線を使用し、骨を形成するミネラル成分(カルシウム・マグネシウムなど)の密度を測る検査です。
骨密度を測ることで、骨折のリスク・骨密度の減少幅・(骨粗しょう症で治療中の方は)治療効果を知ることができます。
検査内容
骨塩定量測定部位は、腰・股関節などです。
①身に着けている貴金属類を外していただきます。
②ベッドの上に仰向けに寝ていただきます。
③測定時間は5~10分です。
検査時間は短く、非常にシンプルな内容となっています。
仰向けに寝ていただくのが困難な場合は座って前腕で測定することもあります。
筋肉量・脂肪量の定量
当センターでは、骨塩定量検査と同じ機器を用いて筋肉量(除脂肪量)の定量も行っています。
身体組成とその分布が簡易に分かるようになっているため、体組成にかかわる疾患(特にサルコぺニア)に非常に有用な方法であるとされています。
筋肉減少症(サルコペニア)とは?
加齢に伴う筋肉量の減少がサルコペニアの概念で、骨格の大きさに対して筋肉質量が少ない状態が筋肉減少症(サルコペニア)と呼ばれています。
骨折や持病による長期入院のため、寝たきりで長期間を過ごし退院すると、歩行困難となる患者さんが非常に多いです。
これまでは、筋力よりも骨の問題(骨密度低下など)がクローズアップされてきました。しかし、現在、筋肉量・筋力の低下もQOL(生活の質)低下の大きな要因として注目を集めています。
このほかにも糖尿病など疾患が原因となる筋力低下もサルコペニアに分類されます。筋肉減少症(サルコペニア)の進行は骨粗鬆症の進行と同様に骨折のリスク増大につながります。
骨塩定量測定と併せて、筋力・筋肉量の検査をすることでQOL低下の対策ができます。
日本は高齢化社会です。動ける間に筋力を鍛え、出来るだけ自立した生活を送りたいと思う高齢者は増えてきています。
現在、筋肉に衰えを感じる方も、そうでない方もこの機会にご自分の筋肉量を把握して、将来を見据えた体作りをしてみてはいかがでしょうか?
マンモグラフィ
乳がん検診
近年、乳がんの罹患率は増加傾向にあります。初期の乳がんは自覚症状がないことが多く発見が遅れるため死亡率も増加傾向にあります。
自覚症状のない段階で早期発見・早期治療をすれば、乳がんは治癒率が非常に高いです。
兵庫県は他と比べ非常に検診の受診率が低いです。自覚症状のない今こそ乳がん検診を受けましょう!
- 乳がんは罹患率・死亡率ともに増加傾向。
- 早期発見のために、今、マンモグラフィを受けましょう。
検査内容
乳房X線検査のことで、X線を用いて乳房を撮影します。
乳房は軟部組織で構成されているため、通常のX線装置では乳房の軟部組織を表現することができません。その為、専用の機械を用いて検査します。
撮影時、乳房を均一の厚さにするために圧迫します。圧迫により多少痛みを感じる方もいらっしゃいますが精度の高い検査を行うために必要となりますのでご了承ください。
部分的かつ微かなものですが被曝します。妊娠の可能性がある方はご遠慮頂いております。しかしながら、被曝は微かなもので健康への心配はありません。安心して検査を受けてください。
- 専用の装置で乳房を圧迫して撮影します。
- 多少ですが放射線被曝がありますが、健康への心配はありません。
小さな石灰病変の検出効率に優れたFP(フラットパネル)を用いた新しいマンモグラフィ装置です。
圧迫することで、小さな病変も発見しやすくなります。
施設認定
当センターでは、マンモグラフィ施設認定を取得しています。
マンモグラフィ精度管理中央委員会によって放射線量・画質・機器精度・撮影技術が認められた施設のことです。
また、マンモグラフィ検査は女性技師が担当しております。マンモグラフィ認定医師・認定技師も在籍しております。
今後、さらに、安心かつ良質な検査を提供できるように努めてまいります
- 安心・安全に検査を受けることができるように努めています!
CT撮影
検査概要
目的撮影部位の周りからX線を照射し、透過X線の量からコンピューターの演算により画像を作成します。
CT検査は全身の撮影が可能で、撮影時間は数分程度で痛み等は伴いません。
CT検査には単純撮影と造影撮影があり、必要に応じて造影剤を投与することもあります。この造影剤を静脈投与することにより、病態をより鮮明に描出することができ、また、動静脈血管の形態や、時には壁在血栓の有無等も容易に観察することが可能になります。
造影剤は安全な薬剤ですが、静脈注射の際に痛みを伴う場合があります。
撮影時間も20分程度と検査時間を要しますが、当センターでは万全の体制で検査に取り組んでいますので、ご安心下さい。
撮影装置
- GE社製 Revolution CT(検出器256列)
- GE社製 Light Speed VCT(検出器64列)
被ばく低減の取組
- AEC(Auto Energy Control)、CARE Dose4Dの活用:撮影部位や体格に応じて撮影電流を自動調整する。
- ドック胸部CT撮影の低線量撮影(放射線科医師と協議済)
- 経過観察検査の低線量撮影(放射線科医師と協議済)
- 診断参考レベル:DRL(Diagnostic Reference Level)を参考にしても、当センターの撮影線量は決して多い量ではありませんのでご安心ください。
造影剤適正使用の取組
- 撮影部位に応じて造影剤量を加減する。
- 体重に応じて造影剤量を加減する。
- 造影剤の投与量を減らしたい時は低電圧撮影を行う。
X線CT認定技師が常駐
- 日本X線CT専門技師認定機構が認定する診療放射線技師が、撮影手技等を放射線科医師やその他の医師等と協議し、撮影法等を決定しています。
安全管理の取組
- 撮影装置の定期検査を実施しています。
- 毎朝、撮影装置を点検(水ファントムの撮影等)しています。
- 造影検査時は、アレルギー歴の確認、腎機能のチェックをしています。
- 撮影前に、患者さんの氏名・生年月日を確認しています。
検査実績
集計期間:2019年4月~2020年3月(1年間)
検査内容 |
件数 |
単純撮影 |
18,904件 |
造影撮影(心臓を除く) |
4,452件 |
冠動脈(心臓)造影 |
560件 |
合計 |
23,916件 |
当センターで画像処理作成されたCT画像の紹介
心臓の様子 冠状動脈断面
上腕骨骨折 腹部大動脈瘤
下肢動脈血管
MRI
検査の概要
MRI(Magnetic Resonance Imaging)とは
MRI検査は強力な磁石でできた筒の中に入り、磁気の力を利用して血管や臓器の撮影をする検査です。
大きな特徴は、
- 頭部の細かい血管の病気や早期脳梗塞など脳の病気に有用です。
- 背骨の中の神経や軟部組織の画像の描出に優れています。
- 癌を見つけたり、炎症などがよくわかります。
- X線を用いないので、放射線による被ばくの心配がありません。
- 大きな音がしますが、小さな子供でも検査可能です。
当センターの現状
現在、臨床で使用されているMRIは、0.2T~3.0T(テスラ:磁気の密度を表す単位)まであり、3Tでは時間が短く、質の高い画像を描出することができます。
当センターでは、3.0Tと1.5Tの2台の最先端装置にて、頭頸部49%、心臓・乳房5%、腹部22%、脊髄14%、四肢10%の割合で全身の検査を行っています。
検査に関するお願い
強力な磁力を使用するため、検査ができない方
- 心臓ペースメーカー(最近のMRI対応ペースメーカー除く)
- 人工内耳を体内に入れている方(最近のMRI対応人工内耳除く)
検査が出来ない可能性がある方
- 入れ墨がある方。(材質により火傷の可能性がありますが、ほとんどが撮影可能タイプです。(承諾書必要))
- 妊娠している方、またはその可能性のある方。(妊娠3ヶ月以内は撮影を控えています。)
- 閉所恐怖症など狭い場所が苦手な方。(国内で一番広いタイプの装置です。)
- 口腔内に磁性タイプの外せないインプラントがある方。(磁力が減る可能性があります。)
- 体内に金属が入っている方。(最近の人工関節やステント、止め金、人工心臓弁などの手術金属は大丈夫です。)
※ 疑問点などありましたら、お気軽に担当医師、またはMRI検査担当放射線技師にお尋ねください。
検査の流れ
検査前のお願い
検査当日の食事は、腹部の検査と造影検査(薬を使用する。)以外は、普通にお取り下さい。
指示があった場合は、食事を控えていただくこともあります。
服用中の薬は、医師からの指示がない限り、通常通り服用してください。
検査室での準備
金属は検査の妨げになりますので外していただきます。
着替えやロッカーも用意していますが、金属の無い服装で来られましたら、着替え等の必要がなくなります。
- 貴金属:時計、指輪、ネックレス、イヤリング、ヘアピンなど
- 眼鏡、補聴器、入れ歯など
- 金属の付いている下着:ブラジャ、スリップ
検査開始時・検査中のお願い
MRI装置の検査台に仰向けに寝ていただき、体の力を抜いてゆっくり休んでください。(リラックスが一番)
時間は撮影場所・範囲・検査内容によって異なりますが、通常15~30分です。
装置から連続的にトントンという音がしますが、痛みを伴いませんので、安心してください。
また、検査担当者とマイクを通じていつでも会話が出来ますので、ご安心ください。
検査終了後
普段通りの生活を送ってください。
検査結果は主治医が説明しますので、指定された日時に来院してください。
他院から検査依頼された患者さんは、依頼された医院に、専門の放射線診断医より検査結果を郵送いたします。
※ 検査予約について(検査を受ける方法)
- 外来に通院されている方:外来受診時に医師に相談した上で予約してください。
- 病棟に入院されている方:主治医から予約してください。
- 当センターを受診されていない方:かかりつけ医を通じて、当院センターに予約してください。
当センターで撮影されたMRI画像の紹介
頭頸部画像
頚部画像・健常神経根イメージ
乳房画像
胸部画像
心臓画像
腹部画像
膵胆管画像(MRCP)
前立腺部画像
手MRアンギオ画像
肩画像
下肢MRアンギオ画像
膝部MRアンギオ画像(腹部~ふくらはぎ)
脊髄画像
血管造影検査
頭腹部血管撮影装置
同時2方向撮影、回転DSAによる3D画像表示、高性能CT機能を搭載した20インチFPD(平面検出器)は頭頸部領域では脳動脈瘤のcoil塞栓術、頸動脈狭窄のstent留置術、また、急性脳梗塞の血栓吸引、血栓回収療法などで役立っています。
下の画像は脳動脈瘤の画像ですが、3D画像から動脈瘤の大きさ(容積)を計算し、coilという金属(形状記憶合金)を動脈瘤に塞栓し、血流を遮断して動脈瘤の破裂を防ぐ治療です。
腹部領域では肝細胞癌に対してTACE(経皮的抗がん剤動注塞栓療法)を行っています。
高性能CT機能を使い、術中に腫瘍の栄養血管の同定が 明確になり、より精度の高い治療が行えます。
下の画像は腫瘍が1個の画像ですが、複数の動脈が関与していることがよくわかります。それぞれの動脈からアプローチし、腫瘍全体を治療します。
腫瘍が複数個の場合でも塞栓治療は比較的容易に可能です。
左の従来画像では腫瘍濃染が複数見えていますが、どの腫瘍に、どの動脈が関与しているのか分かりにくい状況です。
そこで、FPD搭載のアームを使用して、体のまわりを回転撮影し、そのデータをコンピュータで処理したのが右の画像です。
腫瘍にたどり着く経路が色分けで表示され、細いカテーテルでのアプローチが容易に可能となります。
心臓専用撮影装置
Single plane装置(島津社製)と Biplane装置(Philips社製)の2台設置されています。
主に狭心症、心筋梗塞などの虚血性心疾患を中心に PCI(冠動脈形成術)やEVT(末梢血管形成術)、また不整脈治療ABL(心筋焼灼術)を行っています。
この装置は冠動脈CTのDataを使い、PCI時に必要な最適角度を事前に予測することが可能です。これにより造影剤量、放射線被ばくを軽減できます。

検査実績
集計期間:2019年4月~2020年3月(1年間)
検査内容 |
件数 |
心カテ |
1,417件 |
PCI |
279件 |
EVT |
248件 |
ABL |
223件 |
TACE |
34件 |
CVポート増設 |
44件 |
その他IVR |
40件 |
脳アンギオ |
176件 |
CAS |
17件 |
コイル |
23件 |
血栓吸引 |
25件 |
Hybrid OP室 |
106件 |
ハイブリッド手術室
手術台と血管撮影装置を組み合わせた部屋で高精細な透視と血管撮影が可能です。
主に大動脈ステントグラフト挿入術が行われています。
胸部大動脈瘤
術後の造影CT画像ですが、動脈瘤の位置にあわせて留置したステントグラフト(自己拡張する金属の網状の筒の外側を、人工血管でカバーしたもの)がよくわかります。
動脈瘤内に血流が入っていないことがわかり、重篤な胸部大動脈瘤破裂の治療となっています。
核医学検査
検査の概要
体内臓器の働きや代謝など、体の機能を画像として見ることができる検査です。
放射性同位元素を体に投与(静脈注射あるいは口から飲んでいただくことによって)すると、血液の流れで全身へと運ばれ、体内の臓器・組織が必要とする分だけ取り込み、臓器・組織に集積します。
体に集積した放射性同位元素から出る放射線(ガンマ線:電磁波)を検出することができる特殊な撮影装置(ガンマカメラ)を使って撮影することで、臓器の働き具合(機能)の様子を絵で見ることができます。
例えば、骨の材料であるリン酸を放射性同位元素に結合させ、それを静脈注射するとリン酸は骨の表面に吸着集積します。
その様子をガンマカメラで全身の撮影することで、骨の代謝の様子を画像として得ることができます。
当センターの検査装置
2台のガンマカメラと1台のPET-CT装置があります。
ガンマカメラ
PET-CT装置
核医学検査でわかること
核医学検査で得られる画像は『機能画像』とも呼ばれ、X線検査やCT検査、MR検査などの形態画像では評価できない臓器の機能や活動状況を画像として得ることができるところに、核医学検査の最も大きな意味があります。
核医学で撮影された脳血流画像とMRで撮影された脳画像です。
- 核医学脳血流画像
機能画像:血流や臓器の働きなど、機能を画像化します。
- MR脳画像
形態画像:体内の構造物の臓器の位置、大きさ、形などを明瞭に知ることができます。
主な核医学検査
脳血流シンチ
脳血流シンチは脳の血流分布を画像化することで、認知症の早期診断や脳梗塞発症の危険性がないかの診断に利用されています。
認知症ではアルツハイマー病だけでなく、各疾患毎に脳の血流低下領域のパターンがあることが判明しており、脳血流SPECT検査は認知症の診断を得意とする検査です。
また、統計学的な解析により、認知症による物忘れと老化現象による物忘れを区別することにより、認知症の早期診断に有効です。
アルツハイマー病で特徴的に血流が低下するとされている領域(←部分)で血流が低下していることが、画像よりわかります。
心筋血流シンチ
心筋血流シンチは、心臓の筋肉に流れている血流の様子を画像化することで、狭心症・心筋梗塞など心臓病の診断に利用されています。
心臓の元気さを知ることができる心電図同期撮影を行っています。
心電図の信号を撮影装置に取り込み、心臓が動くリズムに合わせて撮影し、コンピューター解析することによって、心臓が収縮・拡張する動きの様子を知ることができます。
負荷心筋血流シンチによる狭心症の診断
診断を行うために、運動時状態における心筋血流画像と、安静時状態における心筋血流画像と2回の撮影を行い、運動時と安静時それぞれの心筋血流画像から、狭心症の診断を行います。
また、十分な運動を行うことができない方には、薬剤の点滴(正常動脈が拡張する薬剤です)により検査を行うこともできます。

運動時と安静時における心筋血流断層像です。
右の安静時に比べ、左の運動時において心筋の血流が乏しくなっている領域(
←)が見られます。
狭心症は、運動時に心臓への血液が不十分になる病気です。
PET-CT検査
一度の検査で、PET画像とCT画像の両方の画像が得られます。
CT画像では、体内臓器の形や大きさを、高分解能な画像で撮影、見ることができます。
それに対し、PET画像では、全身の細胞の一番の栄養であるブドウ糖の取り込み具合の様子を見ることができます。
がん細胞は、正常細胞よりもたくさんブドウ糖を取り込む性質があり、その性質を利用してPET装置で撮影することで、体内のがん細胞の存在を浮き彫り(
→部分)にすることができます。
同時に得られるCT画像と重ね合わせすることでがん病巣の位置と広がりを正確に知ることができます。
検査の所要時間は待機時間を含め、2時間30分程度です。うち、撮影に要する時間は30分程度です。
医療の発展により、がんは治療できる時代へと向かっています。そのためには早期発見・早期治療が重要です。
PET検査は、当センターにおいて、ドックのオプション検査でも受けていただくことができます。
放射線治療
放射線治療の概要
「放射線治療」は、エネルギーの一種である「放射線」を用いて、主に「がん」などの悪性腫瘍を治療していくもので、現在では「手術」・「抗がん剤治療」と並び、がん治療の3本柱の一つです。
特徴としては、手術の場合、腫瘍と共に臓器も取り除いてしまうので、形態や機能が損なわれることもありますが、放射線治療では形態や機能を温存したままで治療することも可能です。
また、手術では体に傷が残ったり、手術後には傷の痛みがあったりと身体的な負担が大きい場合が多いですが、放射線治療では体を切ることもなく、痛みもないため、一般的には身体的な負担が少ないと言えます。
しかし、大きな進行がんや、放射線治療単独では難しいがんに対しては、手術や抗がん剤治療と組み合わせて行うこともあります。
最近では、複数のがん治療法を組み合わせることで、より高い治癒率が報告されるようになってきました。
放射線治療を行う目的として、主に以下の3つが挙げられます。
- 根治照射
放射線治療単独、手術・抗がん剤治療との組み合わせなどでがんの治癒を目指した照射です。
- 緩和照射
がんが進行・再発し、治癒が困難と判断された場合でも、がんによる痛みや出血などの症状を和らげるために行う照射です。
- 予防照射
手術後や抗がん剤治療後などで、肉眼的に明らかながん病巣が残っていない場合でも、目に見えないくらい小さながん病巣からの再発が起こる可能性があります。
そういった場合に、再発を防ぐ目的のための照射です。
放射線治療は手術とは違い1日では終わらず、通常の放射線治療で10~35回程度放射線を照射しなければいけませんが、1回の治療時間は約10分と短く、通院での治療も可能ですので、通常の社会生活を送ることができる場合が多いです。
放射線治療を希望される方は、主治医に相談の上、当科を受診していただきますようお願いします。
当センター放射線治療部門の特徴
スタッフ
放射線治療部門では、放射線治療専門医、看護師、診療放射線技師、外来クラークで行っています。
- 放射線治療専門医
診察・治療方針の決定・経過診察を行います。
- 看護師
患者さまのケアや日々の状態を観察・記録を行い、また患者さまからの様々な相談に対応することで、治療をサポートします。
- 診療放射線技師
治療計画どおりに放射線の照射を行ったり、治療装置の精度管理を行ったりします。 - 外来クラーク
患者さまへ治療費精算の方法やスケジュールの説明、受付業務などを行います。
スタッフ一同、患者さまが最後まで治療を行い、病気を克服できるよう一丸となって取り組んでいます。
治療装置
米国バリアン社製 Clinac iX を導入し、精度の高い放射線治療を行っています。
特徴としては、
- 照射するX線の形状(照射野)を自在に形成する最薄5mmのマルチリーフコリメータを搭載し、正確に照射範囲を捉えます。
- 放射線治療の精度向上に必須のIGRT機能を装備し、診断用X線と同じエネルギーを使用した撮影、透視、CT撮影で正確な位置決めが行えるため、精度の高い治療が行えます。
放射線治療について何か気になることや分からないことがあれば、当院放射線治療室までお問い合わせください。