当科は北播磨地域の基幹病院としての役割を担うべく、成人循環器疾患の全分野を対象に診療を行っています。治療分野は、虚血性心疾患(狭心症、心筋梗塞など)や弁膜症疾患(大動脈弁、僧帽弁、三尖弁など)、大動脈疾患(胸部や腹部の大動脈瘤、急性大動脈解離など)、末梢動脈疾患(急性動脈閉塞や慢性の動脈閉塞、重症虚血肢など)、静脈疾患(下肢静脈瘤や深部静脈血栓症、肺塞栓症など)など循環器疾患に関わるほぼすべての領域の手術を行っています。心臓大血管手術件数は2015年度が119件、2016年度が102件で、腹部や末梢の血管手術件数は2015年度が157件、2016年度が190件でした。
冠動脈バイパス術では、心拍動下手術を積極的に行い、2016年度では単独冠動脈バイパス手術の90%で人工心肺を使用することなく施行できています。また、長期開存性に優れる内胸動脈を積極的に使用しており、特に若年者では動脈グラフトを多用するよう努めています。
弁膜症疾患では、弁形成術や弁置換術を行っています。僧帽弁逸脱症では積極的に弁形成術を行い、弁置換術でも患者さんの病状に応じて抗凝固療法(ワーファリン)を必要としない生体弁と、耐久性に優れる機械弁を使い分けています。また、心房細動を合併している場合にはメイズ手術なども併施しています。
大動脈疾患では、胸部や胸腹部、腹部の大動脈瘤、解離性大動脈瘤に対し人工血管置換術を行っています。特に弓部大動脈の手術では選択的脳灌流を積極的に使用することで脳合併症の軽減に努めています。また、病状に応じてステントグラフト内挿術を行い低侵襲化に努めています。2016年度のステントグラフト内挿術件数は胸部大動脈瘤9例、腹部大動脈瘤19例でした。
その他にも、心房中隔欠損症、心臓粘液腫などの腫瘍に対する手術も行っています。
末梢の動脈疾患については、循環器内科、放射線科と連携し病状に応じて手術や血管内治療を行っています。特に足趾の潰瘍や壊死を伴う重症虚血では形成外科とも連携して膝下や足関節領域までのバイパス手術を行い、救肢、創傷治癒に努めています。
静脈疾患については、主に下肢静脈瘤に対するストリッピング手術を行っています。病状に応じて日帰り手術にも対応しています。血栓溶解療法の進歩に伴い頻度は減少していますが、深部静脈血栓症や肺塞栓症の手術も行っています。
循環器疾患は緊急手術が必要となることも多く、迅速に行えるよう体制を整え、地域医療に貢献できるよう努力していきます。
『脳神経障害を伴った急性A型大動脈解離の現状と治療成績 富山大学および神戸大学関連心臓血管外科施設における多施設共同研究』に対するご協力のお願い(令和4年1月4日承認)
大動脈解離もしくは解離性大動脈瘤でステントグラフトによる治療を受けられた方に対するご協力のお願い(平成29年4月4日承認)
氏名 | 補職名 | 卒年 | 資格等 |
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顔 邦男 (がん くにお) |
副院長兼心臓血管外科総括部長 循環器センター副センター長 |
1983 |
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森本 喜久 (もりもと よしひさ) |
部長 | 1992 |
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山田 章貴 (やまだ あきとし) |
部長 重症虚血肢センター長 |
1998 |
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佐藤 雅信 (さとう まさのぶ) |
主任医長 | 2008 |
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麻田 達郎 (あさだ たつろう) |
嘱託医 | 1976 |
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