がん治療の三本柱のひとつである放射線治療を担う診療科です。外科手術や化学療法(抗がん剤)と組み合わせた集学的治療の一翼を担います。全身のがんを幅広く対象としますが、一部の良性疾患も対象となります。切らずに治すので体への負担が小さいとされ、機能・形態の温存が期待できるのが特徴です。神戸大学放射線腫瘍科および関連病院の協力を得て、常勤医師2名、非常勤医師2名の体制で診療を行っております。
【2021年度治療部位別内訳】計259症例(延べ人数)
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強度変調放射線治療(Intensity modulated radiotherapy; IMRT)は三次元原体照射の進化形とも言える放射線治療の技術です。空間的・時間的に強弱をつけた放射線を多方向から照射することにより、標的に対して最適な線量分布を得る放射線治療法です。標的の形状が複雑である場合や、保護すべき正常臓器と標的が近接している場合において特に有用で、放射線治療の可能性を大きく広げる革新的治療法です。前立腺がん・頭頸部がん・中枢神経腫瘍において特にその恩恵が大きく、当院でも同領域を中心に積極的に採用しています。従来の外照射法にない複雑な照射・治療計画技術を用いているため、適切な運用には専門的な知識が要求されます。当院には放射線医学のスペシャリストである医学物理士が2名在籍しており、このような高精度放射線治療の品質や安全性を担保しています。
俗に「ピンポイント照射」と呼ばれることもある技術です。限局した小領域に対して、正確に照準した多方向からの放射線を照射する技術で、従来の放射線治療と比較して短期間で大線量を照射することができます。局所制御の向上と周囲臓器の有害事象の低減が期待できます。当院では主にI~II期肺癌を対象として定位放射線治療を行っています。
放射線治療の目的はがんの根治のみにとどまりません。
がんは、痛みをはじめとした様々な症状を引き起こします。それらを軽減または予防することで、患者さんの生活の質を改善・維持することが期待できます。これを目的とした放射線治療のことを緩和照射(緩和的放射線治療)と呼びます。
具体的には以下のような病態が対象となりえます。
これらのうち脊髄圧迫に対しては特に迅速な対応が必要で、麻痺症状の出現から48時間以内の治療介入が望ましいとされます。当科では、緊急・準緊急的な放射線治療への需要を満たすよう、月曜から金曜まで通じて外来診察日を設けています。
緩和照射では症状の緩和に必要な最低限の放射線量・範囲の照射を行うため、がんの根絶を目指す根治照射と比較すると、照射に伴う有害事象(副作用)は概ねごく軽度であり、照射期間も短くなります。長期間の入院や通院が困難な場合でも緩和照射なら行える場合があります。
『緊急放射線治療に関する全国調査』に対するご協力のお願い(令和4年10月24日承認)
『Quality Indicator を用いて緩和的放射線治療の質を評価する遡及的多機関共同研究』に対するご協力のお願い(令和4年10月6日承認)
氏名 | 補職名 | 卒年 | 資格等 |
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西川 遼 (にしかわ りょう) |
主任医長 放射線治療センター長 |
2008 |
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関井 修平 (せきい しゅうへい) |
主任医長 | 2008 |
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